ワインと農に魅せられ、自然に囲まれた小諸の地で、
ブドウづくり、ワインづくりへ情熱を注ぐ生産者がいます。
その想いを、自身もワインづくりに取り組む
小諸市農ライフアンバサダーの武藤千春がお届けします。
#01 Terre de ciel
池田:設立は2015年4月です。
武藤:最初から小諸でやろうと思っていたんですか?
池田:そうですね。小諸にゆかりがあったから。もともと小諸市の市街地出身なんです。
圃場を探しに、糠地に来た時に雲海があってすごくきれいだったんです。
うちのワイナリーの台地だけが浮かび上がっていて、その時に雲海の上は全部うちのブドウ畑にしようと思ったんです。
武藤:外国みたいな景色が一面に広がっていて、本当に見事ですね。
このワイナリーは日本で一番標高が高いと聞いたのですが、、、
池田:最初は、小諸市は全面的に応援してくれていたのですが、県の農政部が「栽培がうまくいかなかったら荒廃地になっちゃうから無駄なことはよせ」と言ったんです。ですが、地球温暖化の影響もあり、ブドウ栽培に適している畑だと思います。例えば、市街地で霜が降りても、この畑は風の流れがあって霜がおりないんです。
最初は、ソーヴィニヨンブランの栽培から始めたのですが、あれだけ反対されたのに酸がしっかり残っているソーヴィニヨンができたのが感動しましたね。
武藤:どんなところにこだわっているんですか?
池田:ワイン作りたいと思ったときに風景とか面白い産地だと思った
武藤:いろんなほ場みてきたと思いますが、小諸の面白さっていうのはありますか?
池田:地球温暖化の問題はあるけど、標高が高くて、ブドウ栽培にちょうどいいストレスがある環境で、適していますね。
ブドウも適度なストレスが必要で過保護に育っちゃいけないんです。
北海道も今注目されていますが、小諸市との違いは日射量です。小諸は秋も長くて霜が降りなくて生育期間が長いので果実味のあ るワインができます。
武藤:10年後20年後小諸でもワインのつくりかた変わってきますよね
池田:いろんな方が集まればそうなりますよね。それもいい変化ですよね。
地域を大事にするやりかたでやっていきたいです。
桒原:小諸市のワイン用ブドウの圃場はだいたい950メートル約350メートルの間にあります。
市内の生産者は小諸のテロワールを表現するのにみんな頑張っていますね。
いいワインを作るためにはいいぶどうを育てることが大切で、醸造も手を掛けずにぶどうがなりたいワインになるまでお手伝いをする感覚ですね。今は23件の委託醸造を受けています。皆さん顔が違うように品種も育て方も収穫の時期も違いますが、いいワインを作りたいという気持ちは変わりません。
武藤:いろんな圃場のいろんなブドウをみているとその違いが面白いですよね。
桒原:同じ方法で醸造していてもできるワインは違います。
品種も栽培方法も土も違うし、愛情も違うし、それが表現できていますね。醸造の味で変わるのが嫌だから、全部同じように醸造しています。小諸の味、生産者の味になっているのが本当に面白いですよね。
武藤:初めて小諸に来た時の印象は?
桒原:新しいことやるひとをつついたりするけど、始めてくれたのは社長。
最初は手探り、畑に行っていろんなものを毎日感じてがむしゃらにやってきました。
まずは土地に慣れるまで必死でした。今は適しているところだけど、ブドウを誰が作るかが重要で、いくら有名な人が作っても、適当にやったら美味しくならないんです。
ぶどうを大事に、地域を大事に、風土を大事にする人が集まればおのずとワインの産地になっていくと思います。がんじがらめにしないのが大事です。
もし生産者の中にリーダーみたいな人がいて、ブドウの栽培方法とかで「あれをやっちゃいけない」とかいう人もいるかもしれないんですけど、小諸市にはそういうのがないから良いですね。人もすごくいい。
髙地(農林課ワイン担当職員)
:千曲川ワインバレーの構成市町村のなかで、ワインを行政が担当でやっているところってないんですよね。
このTerre de ciel さんのワインは日本で指折りのワインになると思います。今のうちに周りと差をつけたいですよね。次の50年にむけて、競争の時代の中、規模を拡大していくとか。
生産者も移住者を受け入れる体制があるし、ワイングロワーズ倶楽部といって、生産者が集まる機会もあるので顔併せて意見交換ができていますね。そしてやっぱり人いいですよね。
どんなにいい醸造家がいても本人はおまけくらいで、まわりにどれだけいい人がいるかってすごく大事なことだと思います。
武藤:Terre de cielでどんなワインが作りたいですか?
桒原:栽培95、醸造5で。なるべく畑に入って、ぶどうがなりたいワインになるお手伝いができるように。
みんながみんな美味しいというわけじゃないけど、こだわったワインが作れればいいですね。
武藤:50年後どんな風にしたいですか?
池田:次世代へうまく、いい状態でバトンタッチができる準備ができれば。
夢を定款にいくつかいれたんです。
まず一つが、ワイナリーを2020年までに作る、5年後にはワイナリーにするんだという気持ちでやってきた
そして二つ目が皆さんが憩える場所をつくる。
それで、このワインハウスを作りました。だからある意味集大成ですよね。
里山生活が素晴らしい、菜の花や蕎麦の花、アスパラやブロッコリー、りんごが盛んであったり。ワインハウスで提供する料理に使ったりして、そういう人の繋がりも大切にしたいです。
体制が構築された状態で次世代にバトンタッチできればいいですよね。
Terre de ciel
社長:池田 岳雄 〒384-0809 【NUKAJI WINE HOUSE】 |