ワインと農に魅せられ、自然に囲まれた小諸の地で、

ブドウづくり、ワインづくりへ情熱を注ぐ生産者がいます。

その想いを、自身もワインづくりに取り組む

小諸市農ライフアンバサダーの武藤千春がお届けします。

 


#09 getta wines

 

ーゲッタワインズ

武藤:本日はよろしくお願いいたします。

 

上田:よろしくお願いします。

 

武藤:早速ですが、この小諸の地でワインブドウの栽培を始めたきっかけを教えてください。

 

上田:東京で34年間会社員生活を送っていたのですが、その傍らモノを作る実業がしたいと思っていたんです。

もともとワインは好きだったのですが、コミュニケーションツールとしても最強なワインを作ろうと思って、

千曲川ワインアカデミーの4期生としてブドウ栽培を学びました。

実際ワインを通して、より濃くて広い様々な関係性を築けるようになりました。

小諸市を選んだのは、友人や知人が訪れやすい東信エリアだったことと、

畑を探しに来た際にいい場所に巡り合ったことが理由です。

地元糠地区の方々から”ゲッタ”と呼ばれる場所の畑をみて、一目で決めてしまいました。

 

武藤:畑はお一人で作業されているんですか?

 

上田:そうですね。ほぼ一人です。

妻が蜜蝋作家をしているので、ワインのキャップに蜜蝋を使っていたり、娘がラベルをデザインしたり、家族で作っています。

ービオディナミ農法

武藤:ビオディナミ農法という農法で栽培しているとのことですが、具体的にどういった農法なんですか?

上田:ルドルフ・シュタイナーという学者が提唱した、自然農法です。

苗を植えてまだ4年目。効用がどこに現れているかまだ分からないけど、葉っぱの色が濃くてツヤツヤしている気がします。

まだまだ試行錯誤中ですね。

武藤:取り組む上で、苦労とかはありましたか?

上田:自然農法なので、虫も病気も出て、悩まされることが多いです。

先回りして対策することもありますが、考えることが多くて大変ですね。

武藤:このビオディナミ農法で、今後どんなワインを作っていきたいですか?

上田:この”ゲッタ”のありのままの地でブドウを作って、ワインに落とし込む。

こういうワインが作りたいからといって、作為的に何か作り込むことはしたくないんです。

長年耕作放棄地になっていた畑を開墾したので、残留農薬や肥料の心配もなくそのままの土地なんです。

ありのままの大地の要素を吸い上げて、ナチュラルに発酵させてできたワインを作りたいですね。

武藤:今回のワインはどんな仕上がりですか?

 

上田:マセラシオン(maceration)は白系のブドウを混醸して、赤ワインのように作った白ワインです。

いわゆるオレンジワインですね。

香りも華やかで果汁の味もストレートに出てきています。

カベルネフラン(caberbet franc)のほうは、普通に作ってしまうと、独特の青さが出てしまうんですが、

ブドウの香りが華やかになって、飲み口もあっさり柔らかくなることを狙って作りました。軽やかなワインに出来上がりました。

でも、この作り方をするのは今回だけですね。

ー地水火風

武藤:ボトルのラベルにはどんなものがデザインされているんですか?

 

上田:畑の開墾中に出てきた巨岩がモチーフになっていたり、畑に燦々と降り注ぐ太陽の光、畑の間を抜けるさわやかな風が表現されています。

”ゲッタ”という土地の気候風土や地水火風を大切にして、ナチュラルなワイン作りをこれからも続けていきたいです。