10人いれば10通りの農とのかかわり方があります。
小諸市農ライフアンバサダーの武藤千春が、この地で農を営む
オモシロ農家の生き生きとした活力溢れる農ライフをお届け。
今回のオモシロ農家 #03 甘利 崇雄 さん
- アマリファームは、どんな農業法人?
甘利 弊社は僕で三代目なんですけど、1947年に一代目の先々代がこの地で農業を始めて、二代目が居てそこで僕が途中で就農したんですよね。それで法人化をして今に至ります。
最初はレタスと白菜をつくる農家だったんですけど、いまでは長ネギやキャベツもつくり、「周年栽培」をするため、群馬の高崎に出作をしています。
武藤 群馬にも畑があるんですね。
甘利 いま農業は、高齢化が進んでいます。そして、いまの世界情勢を見て気づいている方も多いと思うんですけど、「自分たちが食べるものは自分たちの国でつくる」ことが大切です。要は、国産ですよね。やっぱり、これから国産の野菜をもっと増やしていかなきゃいけない。それには何が必要かというと、若い力が必要だと感じてします。
武藤 若いひとたちの就農ですね。
甘利 僕の最終的な目標は、「夏は長野で、冬は群馬で」と周年農業ができる組織づくりをしっかりして、農業をやりたい若者を全国から募っていくことですね。
武藤 周りの農業法人と比べると、アマリフォームで働いてる方は、すごい若い方が多いですよね
甘利 そうですね。いま平均年齢が25歳ぐらいで、半分以上は県外者。県外から来てくれてる若い子が多いですね。
- 平均年齢25歳の理由とは…
武藤 全国でいろんな農家さんが人手不足で、若い力をめちゃくちゃ求めてると思うんですけど、結構苦戦してるじゃないですか。アマリファームは、どうやってその平均年齢25歳の若者たちを集めているんですか?
甘利 僕は最初、その部分はあまり考えなかったんです。ただ、「自分がやって楽しい農業にするためにはどうしたらいいかな」とずっと考えてきました。
武藤 以前にもおっしゃってましたよね。甘利さんってそもそも農業始められたのはどんなきっかけだったんですか?
甘利 僕は名古屋出身で、27歳でこっちに来ていきなり農業をはじめました。ただ、当時の一番就きたくない職業が農業だった。次が漁業。 笑
武藤 農業・漁業って、大変そうなイメージありますよね。私も始める前はそう思ってました。
甘利 もう大変とかっていうよりも…選択肢の中に「農業」がまずなかったので、まさか無いだろうと。そういう気持ちでこっちに来たんですけど、周りを見るとやっぱり自分が思ってた通りの農業しかなかった。「これ、自分の職業にするのに大丈夫かな…」って不安を感じました笑 それでも、「これじゃダメだな」「自分がやっていかなきゃいけない仕事だ」って思った時に、農業のもつ奥の深さ、ものすごいクリエイティブさに、気づいたんです。それから、農業が面白くなりました。
そこから、農業にはやっぱり若い力を注ぎ込まなきゃいけないと考えるようになりました。具体的には、使うギア(道具)やウェア(着るもの)、会社としてのイメージを、若者が取り入れられるようなものにしていきました。そういったことに少し気を使うようになったら、ひとが集まるようになったんです。
あと、この”小諸”という場所がいいと思うんですよね。名古屋出身の僕が小諸に住んでいて、例えば、今から名古屋の実家に帰るかっていう話が出たとしても、もう無理です。
武藤 この土地の、どんなところが魅力的ですか?
甘利 やっぱり住みやすさですね。とても住みやすい気候です。あとね、やっぱり思うのが、都会と田舎の違いです。今までずっと都会に住んで、田舎に来て初めて思ったことですが、「都会って、どうにもならないことは本当にどうにもならない」。最終的には、自分だけなんです。ただ田舎は、「どうにもならないことが、どうにかなったりする」んですよ。
武藤 確かに、ないものは作れたりしますよね。
甘利 それって、やっぱり人の温かさだったり、田舎ならではの人とのつながりのおかげだと思っています。